オフィスのWi-Fiは大丈夫?Wi-Fiセキュリティの重要性と、実施すべき対策
企業のDX化が加速する中、PCやサーバーのセキュリティに注力していても、意外な盲点となりがちなのが「社内Wi-Fi(無線LAN)」の環境です。
電波の届く範囲であればどこからでもインターネットに接続できて便利ですが、アクセスが容易なため、セキュリティ上のリスクが高まるおそれがあります。今回は、ビジネスを円滑かつ安全に推進する上で重要な「Wi-Fiセキュリティ」について解説します。
目次
Wi-Fiセキュリティの重要性とは
Wi-Fiのセキュリティホールを放置した場合、企業は具体的にどのような損害を被る可能性があるのでしょうか。まずは基礎知識として、Wi-Fiセキュリティが経営リスクにどう直結するか、その重要性と潜在的な脅威について解説します。
Wi-Fiセキュリティが必要な理由
Wi-Fiルーターへのセキュリティ設定が甘い場合、悪意ある第三者が容易に社内ネットワークへ侵入できてしまいます。
想定される被害は、単なる「タダ乗り(帯域の無断使用)」による通信遅延だけでなく、ネットワーク内への不正侵入による機密情報の窃取や、ランサムウェアなどのウイルス感染です。ルーター自体の管理権限を乗っ取られた場合、フィッシングサイトへの誘導やデータの改ざんなど、悪用されるケースも想定されます。
エンドポイント(PCやスマホ)の防御だけでなく、その通り道であるネットワークでも対策が必要です。Wi-Fiルーターの導入にあたっては、「つながりやすさ」だけでなく、「堅牢な情報の通り道であるか」というセキュリティ視点での選定と設定が不可欠です。
Wi-Fi通信の暗号化技術
Wi-Fiセキュリティの根幹をなすのが「通信の暗号化」です。技術の進歩とともに新たな規格が登場していますが、中にはすでに解読方法が確立され、使用すべきでない古い規格も存在します。各方式の違いと現在のスタンダードを紹介します。
暗号化方式の種類
Wi-Fiの暗号化プロトコルは、WEPから始まり、WPA、WPA2、そして最新のWPA3へと進化を遂げています。それぞれの特徴と安全性のレベルは以下の通りです。
WEP(Wired Equivalent Privacy)
1999年に登場した初期の規格です。「有線と同等のプライバシー」を目指して開発されましたが、暗号解読技術の進歩により、現在では容易に突破される脆弱性が明らかになっています。セキュリティ強度は極めて低く、ビジネスユースでは使用を避けるべき規格です。
WPA(Wi-Fi Protected Access)
WEPの弱点を補うために2003年に策定されました。TKIPという暗号化方式を採用し、一定時間ごとに鍵を更新する仕組みを取り入れましたが、これ自体も現在では解析手法が確立されており、推奨されていません。
WPA2(Wi-Fi Protected Access 2)
WPAのセキュリティをさらに強化し、より高度な暗号化技術「AES」を採用した規格です。長らく業界標準として利用され、現在も多くの機器で採用されています。ただし、2017年に「KRACKs」と呼ばれる脆弱性が発見されるなど、盤石とは言えない状況になりつつあります。
WPA3(Wi-Fi Protected Access 3)
2018年に発表された最新かつ最強度のセキュリティプロトコルです。「SAE(Simultaneous Authentication of Equals)」という新たなハンドシェイク技術を導入し、パスワードに対する総当たり攻撃への耐性が飛躍的に向上しました。公衆Wi-Fiのようなオープンなネットワークでも暗号化通信が可能になるなど、現代のセキュリティ要件を満たす仕様となっています。
Wi-Fiセキュリティ対策として、やるべきこと
使用する暗号化方式の選定に加え、運用面での設定見直しもセキュリティ強度を左右します。機器を導入したままの状態にせず、企業側で能動的に実施すべき「設定の最適化」について確認しましょう。
SSIDとパスワードの設定
Wi-Fiルーターには、ネットワークを識別するための名前である「SSID(Service Set Identifier)」と、接続に必要なパスワード(暗号化キー)が出荷時設定として割り当てられています。
(例:NTTドコモビジネス「home 5G(HR02)」の場合、「HR02a-XXXXXX」といった形式など)
多くの企業で、この初期設定のまま運用しているケースが見受けられますが、セキュリティの観点ではリスクを伴います。メーカー固有の規則性からパスワードを推測されるリスクを排除するためにも、導入時に必ず独自のSSIDと複雑なパスワードへ変更することを推奨します。
【SSID設定の注意点】
SSIDは近隣の外部機器からも視認可能です。「Company_Guest」「Sales_Dept」のように、企業名や部署、用途が特定できる名称は、攻撃者にとって格好の標的となるため、特定が困難なランダムな文字列を設定するのが鉄則です。
【避けるべきパスワードの例】
総務省のガイドラインでも警告されている通り、以下のような推測容易な文字列は避けるようご注意ください。
- IDとの使い回し: SSIDと同じ文字列など
- 組織情報: 会社名、電話番号、住所、部署名など
- 個人情報: 管理者の名前、生年月日、車のナンバーなど
- 単純な単語・配列: 「password」「admin」「12345678」「qwerty」など
- 短すぎる文字列: 解析時間が極端に短くなるため危険
英字(大文字・小文字)、数字、記号をランダムに組み合わせた、桁数の多い文字列を設定することが、不正アクセスを防ぐ第一歩です。
※出典:総務省「国民のためのサイバーセキュリティサイト」
ファームウェアを更新する
Wi-Fiルーターを制御する「ファームウェア」は、PCでいうOSのような存在です。メーカーは、新たな脆弱性の発見や機能改善に合わせて、随時アップデートを提供しています。
更新を怠ると、既知のセキュリティホールを放置することになるため、攻撃者に侵入の隙を与えてしまいます。「自動更新機能」が備わっているルーターの場合は、設定がONになっているか確認し、手動更新が必要な場合は、定期的にメンテナンスを実施しましょう。
(※機種によっては「ソフトウェア更新」と表記される場合もあります)
Wi-Fiルーター選びも肝心
どれだけパスワードを複雑にしても、その土台となる暗号化方式が古ければ、セキュリティの強度が危うくなるため「WPA3対応」は必須条件となります。機器選定の段階でセキュリティスペックを最優先事項としてチェックしましょう。
ゲスト用Wi-Fiを導入して安全性を向上
来訪者に対して、業務用のWi-Fiパスワードを共有する運用は、セキュリティ・ガバナンス上、避けるべきです。ホスピタリティとセキュリティを両立させる解決策として「ゲスト用Wi-Fi」の活用を推奨します。
ゲスト用SSIDを活用
近年のWi-Fiルーターには、業務用ネットワークとは論理的に隔離された「ゲストポート(ゲストSSID)」機能を持つものが増えています。
この機能を使えば、来客者はインターネットには接続できても、社内のファイルサーバーや従業員のPCにはアクセスできません。これにより、万が一来客者の端末がマルウェアに感染していても、社内ネットワークへの感染拡大(ラテラルムーブメント)を阻止できます。
「信頼できる取引先だから大丈夫」という性善説は、サイバーセキュリティの世界では通用しません。意図しない情報漏洩やウイルス拡散を防ぐためにも、接続ルールを明確化し、ネットワークの分離を徹底しましょう。
コンセントを挿すだけの「置くだけWi-Fi」も使える
ゲスト用ネットワークを構築するために、LAN配線工事を行ったり、社内LANの設定を複雑に変更したりするのは、コストや手間の面でハードルが高い場合もあります。
そこで有効なのが、コンセントに挿すだけですぐに使えるホームルーター(置くだけWi-Fi)を、ゲスト専用回線として導入する方法です。
これなら社内基幹ネットワークと物理的に回線を分けることができるため、高いセキュリティ性を確保できます。応接室や会議室など、必要な場所に手軽に移動・設置できるフレキシビリティも、ビジネスシーンにおいては大きなメリットです。
安心・安全に使えるNTTドコモビジネス「home 5G」
最新の暗号化方式「WPA3」に対応
home 5Gは、前章で安全性を解説した「WPA3」にもちろん対応しています。
<home 5G 暗号化方式>
- WPA2 (Only Mode)
- WPA3 (Only Mode)
- WPA/WPA2 Mixed Mode
- WPA3/WPA2 Mixed Mode
特に「Mixed Mode」に対応している点が実務上のポイントです。これは、WPA3対応の最新デバイスと、未対応の古いデバイスが混在する環境でも、それぞれの機器に合わせて最適な接続方式を自動判別する機能です。セキュリティ強度を保ちつつ、接続互換性も確保したいオフィス環境に最適です。
工事不要!5G通信対応※1
「home 5G」の最大の特長は、セキュリティの堅牢さと導入の簡便さを両立している点です。
「コンセントに挿すだけ※2」で開通するため、回線工事の待ち時間や高額な工事費は一切不要となります。テナントの都合で壁に穴が開けられないオフィスや、期間限定のプロジェクトルーム、イベント会場などでも即座にインターネット環境を構築できます。
通信品質においても、ドコモの5Gネットワーク(および4Gエリア)で快適に利用できます。さらに最新規格Wi-Fi 6にも対応しており、デバイスの複数台同時利用に余裕のあるhome 5Gで、ビジネスのスピードを止めません。※3
- 5Gの提供エリアは一部に限られます。エリアの詳細は「ドコモオフィシャルサイト」の「サービスエリアマップ」でご確認ください。なお、本サービスは4Gエリアでもご利用になれます。
- ご登録いただいた設置場所住所以外でのご利用はできません。設置場所住所以外でご利用になる場合は設置場所住所の変更のお手続きが必要です。
- 機器接続時の通信速度は、お客さまの通信環境と接続機器の規格により異なります。
オフィスでの「home 5G」導入ケース
実際に「home 5G」をオフィスに導入し、課題解決に繋がった事例をご紹介します。
【導入前の課題:場所の制約による非効率】
有線LANがメインの環境で、自席以外ではネットに接続できず、ちょっとした打ち合わせでも毎回紙の資料を印刷・配布する必要があった。
【導入後の効果:機動力の向上とコスト削減】
「home 5G」を設置したことで、安全を担保しながらオフィス内どこでもPCを持ち運んでアクセス可能に。会議室やオープンスペースで画面を共有しながらのクイックな打ち合わせが定着し、意思決定のスピードが向上。ペーパーレス化も進み、印刷コストの大幅削減にも繋がった。
このように、単なるネット回線の確保だけでなく、ワークスタイルの変革やコスト最適化にも貢献できるのが「home 5G」の強みです。
まとめ
本記事では、Wi-Fiセキュリティにおける暗号化方式の重要性と、企業がとるべき具体的な対策について解説しました。
セキュリティリスクを最小化するためには、最新の暗号化規格「WPA3」に対応した機器を選定し、適切な設定運用を行うことが求められます。
NTTドコモビジネスの「home 5G(HR02)」なら、WPA3対応による高い安全性と、工事不要ですぐに導入できる手軽さを兼ね備えています。オフィスのメイン回線としてはもちろん、セキュリティを分離したいゲスト用Wi-Fiや、バックアップ回線としても非常に優秀なソリューションです。
安全で快適な通信環境を、手間なく構築したいとお考えの企業様は、ぜひ導入をご検討ください。
home 5Gについては、以下の商品詳細ページをご確認ください。
「home 5G」の詳細を確認する


