個人携帯を仕事で利用することは可能?リスクや安全な運用方法を解説

リビングの机にスマホが置いてある画像
2026.2.27

個人携帯を仕事で利用することは可能?リスクや安全な運用方法を解説

働き方改革の推進やリモートワークの定着に伴い、業務の効率化を目的として「BYOD(Bring Your Own Device:自分のデバイスを持ち込む)」を検討する企業が増えています。
従業員が所有するデバイスの中で、特に普及率の高い個人携帯を仕事で活用できれば、スムーズな連絡体制が構築できると考えるのは自然な流れかもしれません。
しかし、実際に個人携帯を仕事で利用するとなると「セキュリティ対策はどうする?」「プライバシーは守られる?」「通信費の負担は誰が負うべき?」といった、多くの疑問や不安が生じます。

この記事では、個人携帯を仕事で利用するようになった背景やそのリスクのほか、安全に運用するためのポイントと、導入を検討すべきITツールを解説します。
また、企業において個人携帯を仕事で利用し続けることの問題点についても、詳しく見ていきましょう。

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個人携帯を仕事で利用するようになった背景

現在、ビジネスシーンにおいて個人携帯の業務利用が検討されるようになった背景には、圧倒的な普及率があります。
NTTドコモ モバイル社会研究所のデータによると、2025年における携帯電話所有者のうち、スマホを利用している割合は約98%と、極めて高い水準に達しています。
今や、ほとんどの従業員が、スマホを所有しているといっても過言ではありません。

また、リモートワークなどの多様な働き方が浸透したことで、オフィス外でも即座に連絡がとれる環境が求められるようになりました。
こうした状況下で、従業員が使い慣れたスマホをそのまま利用できる個人携帯の活用が、1つの選択肢として検討されているのです。

出典:NTTドコモ モバイル社会研究所「モバイル社会白書2025年版 第1章:モバイル端末の所有・利用状況

個人携帯を仕事で利用する5つのリスク

暗い部屋でスマホを操作している手元の画像

個人携帯を仕事で利用することは、一見すると効率的に思えますが、重大なリスクに発展するおそれがあります。
具体的に考えられる5つのリスクについて、詳しく解説します。

セキュリティリスク

個人携帯を仕事で利用することによって、企業におけるセキュリティリスクが想定されます。
中でも、企業の機密情報が外部に漏洩するリスクが高まる点が課題です。
標準的な個人携帯の状態では、会社側から端末を制御できないため、紛失や盗難に遭った際の遠隔でのデータ操作などは困難です。

また、従業員がウイルス感染のおそれのあるサイトを閲覧したり、会社が把握・承認していないアプリやクラウドサービスを無断で利用したりすることで、機密情報が外部へ流出するおそれがあります。

労務管理リスク

個人携帯を仕事で利用することは、従業員の労働時間とプライベートの境界を曖昧にする要因となります。
例えば、リモートワーク下で個人携帯を利用する場合、いつ・どこでも仕事の連絡ができる便利さがある反面、休日や深夜の業務対応を常態化させ、過度な長時間労働を助長するリスクを招くおそれがあるでしょう。

また、従業員が「通知が来たらすぐに返信しなければならない」というプレッシャーを感じることもあり、メンタルヘルスの観点から、企業にとって無視できない問題となる可能性があります。

プライバシー・心理的リスク

個人携帯の仕事での利用は、従業員のプライバシー保護において問題となる可能性があります。
取引先との連絡に個人の電話番号を利用することに対し、連絡先を不特定多数に知られることへの抵抗感を持つ従業員もいるでしょう。
また、顧客に一度番号を知らせてしまうと、業務時間外や休日に直接連絡が入る可能性や、退職後も個人の電話番号が顧客の手元に残ってしまうことなども考えられます。

ほかにも、個人携帯を仕事に利用すると、従業員の私物であるにもかかわらず、「会社に管理・監視されている」と不安を感じさせるような場面があるかもしれません。

コスト負担のトラブル

個人携帯の仕事での利用における費用精算は、煩雑な作業になりやすく、それに伴いトラブルが発生する可能性があります。
個人携帯を利用する場合、業務で発生した通信費とプライベートの利用分を切り分ける必要がありますが、精算ルールが不透明だと毎回の精算作業が困難になるでしょう。

また、一律手当として支給する場合も、従業員が「仕事なのに自分の負担分が発生している」という不満を抱えてしまうと、結果として企業との信頼関係を損なう一因となります。
さらに、スマホの故障時の修理費や買い替え費用の負担についても、どこまで関わるのか悩む企業も少なくありません。

法的・コンプライアンスリスク

管理が十分でないまま個人携帯を仕事で利用し続けることは、企業として遵守すべき法令や社内規程に抵触するおそれがあり、重大なリスクとなり得ます。
例えば、適切な管理体制を整備しないまま情報漏洩が発生した場合、個人情報保護法にもとづく安全管理措置の不十分さが問題となり、企業は法的な責任を問われる可能性があるでしょう。

また、情報漏洩が発生した際に、個人の所有物を企業がどこまで調査できるのかといった、調査権限の法的な範囲が明確ではないことも課題です。
証拠保全が遅れれば、事態を深刻化させるリスクも発生します。

個人携帯を仕事で利用する際に、リスクを防ぐITツールや仕組み

鍵マークとスマホの画像

個人携帯を仕事で利用する際のルールを定めておくことは大切ですが、個人の良心や注意だけに頼る運用には限界があります。
ITツールを導入し、システム側で強制力を持たせることで、従業員の負担を減らしながらリスクを大幅に低減できます。

MDM

MDM(モバイルデバイス管理)は、デバイスそのものを一元的に管理・制御するためのシステムです。
端末へのパスワード設定の強制や、紛失・盗難時のリモートロック(遠隔ロック)、あるいはデバイス内のデータをすべて消去するフルワイプなど、ハードウェア単位での安全性を確保する役割を担います。
最近のBYOD運用では、プライバシーに配慮しつつセキュリティを担保するため、MDMの機能を用いて仕事用プロファイルを構築し、OSレベルで私用領域と業務領域を厳格に分ける手法が多く採用されています。

クラウドPBX/IP電話アプリ

クラウドPBXは、会社の電話番号や通話料金を一元管理するシステムで、IP電話アプリはクラウドPBXと連携し、個人携帯から会社番号で通話するためのアプリです。
個人の番号を隠して仕事専用の番号で発信でき、通話料も会社に直接請求されるため、プライバシー保護と費用精算の自動化を同時に実現できます。

VDI・MAM

VDI(仮想デスクトップ)は、サーバー上のデスクトップ環境を手元の端末から操作する仕組みです。
データが端末内に一切残らないためセキュリティ強度は極めて高いですが、PC用の画面をスマホの小さなディスプレイで操作するため、視認性や操作性の面で実用上のハードルが高いという課題があります。

一方、スマホでの快適な操作性とセキュリティを両立させたい場合は、MAM(モバイルアプリ管理)が効果的です。
これは、個人携帯の中に業務専用の隔離領域(コンテナ)を作り、その中のアプリやデータのみを会社が管理する仕組みです。
万が一の際のデータ消去も業務領域のみに限定できるため、個人の写真やSNSデータには干渉せず、プライバシー保護と安全なデータ運用を両立できます。

個人携帯を業務で安全に利用するためのポイント

前述のようなITツールで技術的な防波堤を築いた上で、次に重要となるのが実務上のルールづくりです。
トラブルを未然に防ぐため、下記のようなポイントを社内規程として明文化し、従業員から同意書を取得しましょう。

利用申請と承認プロセス

個人携帯の無断での業務利用を防ぐためには、利用者の特定と会社の承認が必要です。
まず、事前の申請なしに個人携帯で業務システムへアクセスすることを禁止し、個人携帯の機種名やOSのバージョンを確認した上で、会社が認めた従業員のみに利用権限を与えるプロセスを構築します。
このプロセスにより、セキュリティ水準の高いスマホのみを業務で利用可能にできます。

利用範囲と禁止事項

個人携帯を仕事で利用する際には、アクセス可能なデータの範囲やアプリの制限を定めます。
例えば、機密性の高い顧客名簿などのデータへのアクセスは禁止し、社内での連絡は主にチャットツールで行うといった運用です。
また、セキュリティを脆弱にする「脱獄(ジェイルブレイク)」や「root化」といった端末改造や、不適切なアプリのインストールを禁止事項として明示し、違反時のペナルティについても定めておくことが大切です。

セキュリティ要件

個人携帯であっても、業務に利用する以上は、会社が指定するセキュリティ基準を満たさなければなりません。
具体的には、推測されにくい強固なパスワードや生体認証の設定、信頼性の高いウイルス対策ソフトの導入、そして脆弱性を放置しないためのOSの定期的なアップデートの義務付けです。
これらを定期的にチェックする仕組みも、合わせて検討が必要といえます。

費用負担のルール

個人携帯を仕事で利用する場合のデータ通信料や通話料の負担割合は、トラブルになりやすいポイントとなるため、基準を設けることが大切です。
例えば、一定額を通信手当として一律支給するのか、あるいは業務利用分を詳細に計算して実費精算するのかなどを、社内規程で定めます。
また、スマホの故障時や、業務に耐え得るスペックのスマホに買い替える際に、会社がどこまで補助を行うのかについても決めておくといいでしょう。

紛失・盗難時の対応

仕事で利用している個人携帯の紛失・盗難が起きた際に、情報の流出を最小限に食い止めるため、初動フローを確立することも重要です。
個人携帯がなくなったことについて、従業員が報告を躊躇したり、後回しにしたりすると、被害が拡大する原因にもなります。
そのため、即時報告を義務化するとともに、社内で緊急連絡先を共有しておく必要があるでしょう。

また、報告を受けた際に、会社側から遠隔でデータを消去するリモートワイプを実施する場合は、どの範囲のデータが消去されるのか(端末丸ごとか、業務データのみか)を明確にし、書面で事前に従業員の同意を得ておきましょう。
特に、個人携帯の場合、家族の写真などの私的データまで消去してしまうフルワイプは、従業員との法的トラブルに発展するおそれがあります。
そのため、業務データのみを狙って消去できるMDMツールの選定と、その仕様についての丁寧な説明が不可欠です。

退職時のデータ消去

従業員が会社を退職する際には、個人携帯に残った業務データの流出を防ぐため、手続きを行う必要があります。
退職時はスマホ内の業務アプリやデータの削除を行うことを社内規程などで定めておき、実際の削除と秘密保持誓約書にサインをもらうプロセスを設けます。
また、業務システムのアカウントを、削除・無効化する運用も徹底しなければなりません。

個人携帯を仕事で利用し続ける問題点

従業員のスマホを仕事で利用することは、企業にとって初期投資の抑制につながりますが、長期的な運用においては「目に見えないコスト」と「潜在的なリスク」が積み重なっていきます。
特に、事業規模が拡大するフェーズでは、個人任せの管理が経営上の大きなボトルネックとなる可能性があります。

暫定的に利用している場合は早急に対応が必要

企業が業務において、個人携帯を一時的な代替手段として利用し続けているのであれば、早急な対策が必要です。
ルールや管理体制が曖昧なままで運用を続けると、セキュリティの脆弱性が放置される可能性があるほか、隠れ残業の常態化や、退職時のデータ回収不能といったリスクの発生が考えられます。

特に、企業の成長に伴って従業員数が増えれば、個人任せの管理には限界があります。
個人携帯から法人スマホへの切り替えを検討するなど、会社が十分な管理責任を持てる体制への移行が急務です。

法人スマホについて知りたい方はこちらから
法人スマホとは?知っておきたい基礎知識と契約先の選び方を解説

「NTTドコモビジネスオンラインショップ」で法人スマホの導入を

個人携帯の仕事での利用に伴う多くのリスクを解消するには、法人スマホの導入がおすすめです。
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事務手数料も無料(一部対象外)で、Web上で法人契約の手続きが完結するため、複数台を導入する際も便利です。

また、法人専用の料金プランである「ドコモBiz かけ放題」や「ドコモBiz データ無制限」によって、業務における通話やデータのやりとりが多い場合でも、コストを抑えながら安心して利用できます。

まとめ

従業員が所有する個人携帯を仕事で利用することは、慣れたスマホをそのまま使える点などから効率的に見えますが、適切な対策を行わなければセキュリティや労務管理、コンプライアンスにおいてリスクを伴います。
企業として個人携帯を仕事に利用し続ける場合は、社内規程の整備や、それを支える技術的なツールの導入が不可欠です。

総合的なコストや将来的なリスク、実務上の負担を考えれば、個人携帯の業務利用(BYOD)から、企業が端末を支給・管理する「COBO(Corporate Owned, Business Only)」への移行、すなわち法人スマホへの切り替えを検討することが選択肢の1つとなるでしょう。
COBO化によって、端末のセキュリティ設定やアプリ管理を会社側で一元的にコントロールできるようになり、本記事で取り上げたBYODに伴うリスクの多くを根本から解消可能です。
企業の通信環境を見直し、より安全で効率的な運用のために、「NTTドコモビジネスオンラインショップ」が提供するサービスを活用してみてはいかがでしょうか。

  • 本記事は2026年2月時点の情報をもとに作成されています。
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